住まいのコラム

家づくりの本音とコツ

| 第 53 号 |

がけ条例(土地選びのコツ)

2022年4月1日 火曜日

建築士として土地えらびをお手伝いしてるときに、わりと軽く考えられがちだなぁと感じるのが「がけ」が計画に与える影響です。

 

「がけ」が影響するのは、建物の配置とコストです。もし、規定を満たす擁壁に造り替えるとなると、数百万円から1千万円を超える費用がかかりますので。建て主さんもそうですが、建築士にとっても計画全体に影響する重要な要素になります。

(ここでいう「がけ」は、福岡県の規定に基づいてお話しています。都道府県によって違いがありますのでご確認をお願いします。)

 

ざっくりいうと「がけ」は3メートルを超える段差です。

 

道路から階段を上がった地面との高さの差であったり、お隣の敷地が3メートル以上低かったりするケースです。

一段上がった敷地ですから、見晴らしが良くて日あたりも抜群!と、魅力的です。

ところが、計画を進めようとすると、この段差が悩みの種になってきます。福岡県内で建築する場合には「がけ条例」の適用を受けることになるんです。

 

がけ条例では、がけ(地盤面が水平面に対し30度を超える傾斜度をなす土地)で高さ3mを超える場合に近接する敷地には、居室を有する建築物を建築してはならない、と規定されています。

要するに3メートルを超える段差の近くには家を建てちゃいけませんよ。という条例です。

「近くに」でなければ、はどんなものかといいますと、段差の2倍ほど離せば大丈夫です。3メートルの段差なら6メートル以上離せばこの規定は適用されません。(もちろん管理責任の有無とは別の話ですが。)

 

もちろん適用を受けないケースもあります。

・敷地自体が岩盤みたいに強固で崩れない土地、という、とっても稀なケース。

・鉄筋コンクリート製の規定にのっとった安全な擁壁。(自然石の石積みでは、まず認められません。)

とか、こんな感じです。

 

もちろん、安全な擁壁に造り替えれば建築できますし、せっかく造るなら段差をガレージとして利用するなんてことも考えられますから、デメリットをメリットに変えることもできます。

ガレージの上に建物を載せたり、庭として利用すると敷地面積が広がったような効果を生み出すこともできます。

 

いずれにしても、「がけ」が建物の配置やコストに与える影響はとても大きいので、土地を選ぶときには重要な要素となることを認識しておくことが重要です。

最後までお付き合いくださいましてありがとうございます。

このコラムがあなたの住まいづくりのお役に立てたら嬉しいです。

koba