住まいのコラム

家づくりの本音とコツ

| 第 42 号 |

4枚建ての黒い板戸

2019年3月7日 木曜日

「もし、使えそうなら・・・」と建て主さん。
軒下に立てかけてあるブルーシートに包まれた物体は建具でした。
古いものが好きで集めておられて、いつか使えたらいいなと思っていたのだそうです。

 

「検討したいです!」と私。

 

その黒いカマチの建具は、中央部分にあかり取りの細い縦格子が組み込まれていて、障子紙が張ってあります。
紙は破れていますが、格子の桟は折れてません。
外に置かれてたのに腐ってもなく保存状態は良好です。

 

計画中のアトリエ、基本設計の図面ができたところなので少し設計変更すれば組み込めそうです。新品の建物に”時間”という要素を付加できるのは魅力です。

 

幅がうまくおさまったのはラッキーでした。
組子格子を加工する可能性も含めて覚悟していましたが、建物側の壁の長さを調整するだけですみました。

 

ただ、高さの調整は必要で、1枚1枚高さが違ってましたからまちまちだったので、
違和感の無く設置できるよう大工さんに調整してもらいました。

 

単純に当時の状態を復元するのではなく、監督や大工さんと相談して見えないところには最新の部品を仕込みました。
すこしだけ進化した古い建具。

 

止まっていた時間が、この場所で再び動きはじめます。